小宮果穂「ドーナツのクズ、メロンパンの車」
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13: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/27(日) 23:46:29.60 ID:PHaCgA4wO

久住「まあ、やりようがないわけでもないけどな。ほら、そのベンチ、鉄で出来た仕切りあるやろ。それ、ホームレスが夜寝られへんようにするためのものやで。街をキレイにするには見えとるゴミを拾うんやなくて、はじめからあるゴミを見やんでいい仕組みをつくる。逆転の発想やな。よう考えられとるで」


 果穂は久住の指先につられてベンチを見た。久住の指先と言葉はまるで魔術師のように果穂に作用し、視線はいいように操られ、いままで見ていなかったものを果穂に見させた。ベンチという物体しか見えていなかった果穂に、ベンチが設置されている公園がどのような思想に基づいて設計された空間かを理解させ、この空間が意図的に排除した存在に意識を向けさせた。


久住「この街はキレイなもんだけ見たい人がどんどんキレイして汚いもんは目に入らんくなっていく。ま、来年、オリンピックあるしな」


 何事もなかったかのように、久住はまた明るい青年へ戻った。大袈裟な芝居を解いたようでもあり、あるいは、大袈裟な芝居を始めたようでもあった。


久住「ほな、果穂ちゃん、しっかり考えて汚いもんなくしてってなー」


 そして、久住は立ち去った。



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