18:名無しNIPPER[saga]
2020/09/21(月) 02:12:42.78 ID:7av7wDk10
「ああ、なーるほろ」
思っていた以上に母親を理解している弟に内心舌を巻くひまわりだった。その事に自分よりもともすれば大人なのではないか、姉としての尊厳が危ういのではないかという一抹の不安と、葛葉のくせに生意気だというジャイアニズムがムクムクと鎌首をもたげてくるのであった。
「なら、仲良く喧嘩させとくぅ? トムとジェリっとくぅ?」
「いや、俺腹減った。姉ちゃん、なんとかしてくれ」
肝心なところは絶対に人任せにする末っ子気質はとても年相応とは思えないが、それが葛葉という少年――もとい吸血鬼の人となりだった。
「なんとかってご飯調達しろってこと? それは無理やよ。ひま、サバイバルの経験はゲームでしかないもん」
「俺だってねーよ。大丈夫だって、その辺うろついてりゃドードーの一匹や二匹出てくんだろ」
どうして二人から両親の仲を取り持つという選択肢が出て来ないのか。それはつまり、その選択が論外であるというその一点に集約される。だれが進んで地雷処理になど行きたいものか。てぇてぇなどリスナーに任せて押し付けておけば良いのだ、と。それが二人の共通認識である。
「……ドードー出て来たとして、食べるの?」
「そりゃ食うでしょ。弱肉強食は世界が変われど鉄の掟よ」
「え、だって殺さなきゃいけないんだよ!? 羽毟って皮剥いで内臓処理して!」
「……よーし、ほんひま。あの二人はほっといてスーパー探しに行くぞ。現代っ子の俺らにゃパック詰めされた肉以外無理だ。吐く」
「弱っ! 葛葉弱っ!」
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