14:名無しNIPPER[saga]
2020/09/20(日) 14:46:47.30 ID:DMraZkfV0
「そこまで言います?」
「言いますよ。ついでに言っちまうと、この空間だってモイラ様がチョイスしたんでしょう? 俺がオタクだから。『分かって』っから。ぶっちゃけ『この〇ば』のオープニングリスペクト丸出しじゃないですか、ここ。この空間」
「だとしたら? なんなんです?」
「だとしたら俺はオヤクソクに則ってここにあるカードから能力を選ぶことは最初からしちゃいけないって事になる。突拍子もない提案をしなきゃいけないって事になる」
だが、知っているだろうか。英雄は最初から英雄ではないということ。
だから女神モイラは優しく問う。それが規定事項であるように。
「社さん、受けたい恩恵を教えて下さい」
社築は目を閉じる。今、この瞬間から彼の異世界転生が始まる事を、肌で理解していた。
「俺が選ぶ恩恵は――」
重ねて重ねて繰り返す、社築は英雄ではない。
英雄が最初から英雄ではないのは確かだが、しかし英雄になれる人間はごく限られている。それが現実だ。そして社築は英雄になれる器では決してない。そんなことは彼本人が誰よりも一番よく分かっている。
「――家族、で」
だから、彼にとっての「ヒーロー」を頼る。
これは決して「彼」の異世界転生の話ではない。これは「彼ら」の異世界での話である。
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