僕っ娘剣士「黙れ犬!僕を女扱いするな!」少年「でも、お嬢は女だし……」
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36:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/19(土) 20:41:56.64 ID:ZPljtdP8O
「つーわけでお嬢、頼む!」
「あのね、犬。僕とお前は師匠と魔女に完全に騙されておもちゃにされてるんだよ?」
「騙されてなんかねぇ! この力は本物だ!」

犬の右手が光輝く。それに主人は瞠目した。

「お前、まさかその力は、魔法か……?」
「ああ、そうだ! これが俺の新しい力。お嬢のためだけに身につけた、強化魔法だ!」

実のところ主人には魔法の才能がなかった。
とはいえ、それは別段、珍しくもない。
この世界にはたとえ女であっても先天的に魔法を扱えない者が一定数存在している。
単純に、体内で魔力を生み出せないのだ。

「犬、お前は僕のためにその力を……?」
「俺はお嬢のためならなんだってしてやる! 握り飯が食いたかったらいつでもおにぎりを作るし、お嬢が強くなりたいなら、こうして魔法だって覚えて強くしてやる!」

口で言うほど簡単ではないだろうに。
犬はオスであり、つまりは男の子だ。
ただでさえ繊細な魔力の操作が難しく至難の技だったろうに、彼は成し遂げたのだ。

「わかった。僕は犬の思いと力で強くなる」

ならば主人として、その思い応えなければ。


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