高垣楓「あなたがいない」
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96: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:11:49.02 ID:LTP9DQ6S0

 私は、薬を飲む。
 二週間。特に変わった様子はない。いや、少しだけ変わってきたことがある。
 相変わらず睡眠薬で昏倒するように眠るのだけれど、寝付きはよくなったが早くに目が覚めることが増えた。
 二時間くらいでぱっちりと。そこからもう一度眠ろうとするのは、とても苦痛だった。
 実際眠れることはなく、悶々とした時間を過ごすだけ。
 もらった睡眠薬を追加で使おうと思ったけれど、今度は薬がなくなった後のことを考えて不安になり、追加することが憚られた。

「こういうことがありまして……」

 次の診察で、私は先生に訴えてみた。

「なるほど、そうですか……そうだなあ、じゃあ熟眠できるように、少し薬を変えてみましょうか」
「よろしいんですか?」
「高垣さんはちゃんと用法どおり飲んでいますから、大丈夫ですよ」

 そうして、睡眠薬が『エチゾラム』から『ニトラゼパム』というものに変わった。
 すると、寝付きは少し悪くなったものの、途中で目が覚めるということがなくなった。
 起きた時の体のだるさには参ったけれど、それでも途中で目が覚める倦怠感よりはましな気がした。
 そして、大きく変わったこと、それは。

「そろそろ、仕事を再開しますか?」




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