高垣楓「あなたがいない」
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95: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/20(日) 22:11:17.52 ID:LTP9DQ6S0

 私は心から、残念に思う。
 時間薬と、よく言われたりする。失恋とか。
 しかしそれは、なにかを忘れるための時間なのであって、本当に薬なのだろうか。
 時間をかけることで、私はPさんを忘れてしまうのだろうか。
 それはとても許せない、気がする。
 どうあっても私は、Pさんを忘れたくない。いろいろな想いがぐちゃぐちゃに混ざり合ったまま、私は今を生きている。

「吐き気とかもないようですし、今の薬を続けてみましょう」
「あの……先生」
「なんでしょう?」
「どのくらい続ければ、結果が出るんでしょう」

 私は藁をも掴む気持ちを、打ち明ける。しかし先生は。

「さすがにひと月では、難しいでしょうねえ」

 そう、くぎを刺すのだった。




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