高垣楓「あなたがいない」
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59: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/18(金) 22:43:12.95 ID:QGubcxXe0

「心配かけてすいません……ありがとう」
「いえ、チームですから」

 プロデューサーが笑う。私の心は晴れなかった。
 チームなのだから……そう言って私の心配をしてくれる。他のスタッフだって、トレーナーさんだって、ちひろさんだって、私が大丈夫なのかと心配する。
 当然だろう、私はこの事務所のアイドルであって、ひとつの商品なのだから。

 ……え?
 私は、なにを思ったの?

 あさましい自分の思考を封印する。そう、私はやり遂げなければならないのだから。
 それが、私のとれる道なのだから。
 営業さんのアプローチしている仕事の内容を吟味し、私のスケジュールは徐々に軽くなっていく。
 目を離すと無理をしそうだと、レッスンの時にはマネージャーが必ず付いた。
 そこまで私は無理していないのだけれどと思いながらも、彼らの心配を和らげるのも私のやることなのだろうな、と自分で歯止めをかける。




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