40: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/14(月) 21:19:06.98 ID:Od9IjqsH0
「いえ、ありがとうございます。正直、ここまでしていただけると、私のプレッシャーが」
「いやいや、私たちのほうがプレッシャーですって。ほんと、お手柔らかに」
私の言を受けて、プロデューサーが言う。少し、場の雰囲気が和らいだ。
メンバーの顔触れをもう一度確認し、私はバッグからPさんの手帳を取り出す。そして、それをプロデューサーに渡した。
「これが、Pさんの全部、です。よろしくお願いします」
「分かりました、お預かりします。あとこれはスキャンしてお返ししますね」
「え?」
「だって、彼のすべて、でしょう?」
そうか、プロデューサーは私に、最大の配慮をしてくれたのだ。これが私にとってどれほど大切なものなのかを、彼は知っているのだ。
Pさんの先輩であるからこそ、そうしてくれた。
心が、詰まる。
ありがたいと思う気持ちはあるけれどそれ以上に、もう彼はいないという、現実を突きつけられた気がした。
「よろしく、お願いします……皆さん、頑張りましょう」
チームのみんなが頷く。私は言葉を絞り出すのが、精いっぱいだった。
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