高垣楓「あなたがいない」
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190: ◆eBIiXi2191ZO
2020/09/25(金) 23:32:53.21 ID:17bnaLyc0

 私はお礼を返す。
 そう言えば、告別式の時はあまり時間がなかったのでうろ覚えだったのか、Pさんの面影があると思い込んでいたけれど。
 こうして改めてお会いすると、あまり似ていない。

「……弟と似ていないでしょう?」

 私はまじまじと見てしまったのか、彼女はそう言った。その言葉に私は、恥ずかしさを覚える。

「実は私、母親の連れ子でして。再婚相手との子が、弟なんです。ですから歳も離れてて」
「失礼ですけど……おいくつ」
「十二歳、離れてます」

 そう言う彼女の表情は、暗く落ち込んでいる。

「私がもっとしっかりしていれば、弟はこんなことにならずに、済んだのに……」

 彼女の言葉には、後悔の思いしか映し出されていない。そんな気がした。

「もし、よかったら」

 私は彼女に、言葉を促す。それはとても重い、話だった。

「私たちの、親は……」




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