169: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/24(木) 21:36:22.62 ID:itU6iUE10
私はようやく、仕事を再開する。
歌番組の収録。録画ものでインタビューなし、という、今の私にはありがたいものだ。しかも瑞樹さんと共演。
事務所スタッフの努力と配慮に感謝しながら、スタジオへ向かった。
「楓ちゃん、やっほー」
瑞樹さんは先に部屋入りしていた。別の収録からまっすぐこちらへ、という段取りだったのだ。
「瑞樹さん、今日はよろしくお願いします」
「なーに言ってるの。この前一緒にお茶した仲じゃない」
「そうですね。お酒じゃなかったですけど」
「そうねえ、今度は夜、ご一緒しちゃいましょうね……ところで」
瑞樹さんが尋ねる。
「カウンセリング、行ってみた?」
「ええ、先日」
「……どう? 少しは楽になった?」
「……どうなんでしょう」
私は苦笑するしかなかった。その表情で理解したのか、瑞樹さんは「そっか」と言い。
「今の楓ちゃんには、合わなかったってことね。それでいいんじゃないかしら」
私に笑みを向けた。
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