高垣楓「あなたがいない」
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166: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/24(木) 21:33:41.62 ID:itU6iUE10

 とりあえず事務所近くにカウンセリングルームがあることが分かった。
 九十分で一万二千円、高いのか安いのかよく分からない。女性専用ということだったので、ここに予約を入れてみた。

 カウンセリング当日。
 マンションの一室、玄関に小さくカウンセリングルームの看板が張り付けてある。
 中では瑞樹さんと同年齢くらいの女性が、私を待っていた。

「ようこそ。はじめまして」
「はじめまして。高垣と申します。よろしくお願いします」
「よく存じ上げてます……と言っても、テレビ画面の中ですけど」
「そうですか。ありがとうございます」

 ひととおりの挨拶。私は応接ソファーに案内される。
 カウンセラーさんはお茶を入れ、私に勧めてきた。

「ハーブティー、お嫌いですか?」
「いえ、頂戴します」

 カモミールの香り。心を落ち着けるための配慮ということか。

「あと、先にご説明しますね。プライベートに関してお話を伺った内容は、一切公表いたしません。
プライバシーに関する誓約書を取り交わしますので、安心してくださいね」
「はい、よろしくお願いします」

 しばらく世間話をする。
 もちろん芸能界に関することは、話せない。
 それはたとえ誓約書を交わしたとしても、こういう業界にかかわる人間であれば細心の注意を払うことだから。
 当たり障りのない話。話をしながら私は、心が冷えていくのを感じる。




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