118: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/21(月) 23:01:11.10 ID:brMXuKjJ0
なにに対して不安になっているのか、私自身認められていない。漠然とした、ちりちりという焦燥感。それでも。
その時は、やってくる。
ふとプロデューサーの言葉を思い出す。人間くさい、私。彼らはそういう私が好きなのだ、と。そして、気付く。
ああ、Pさんもそう言っていた。完璧じゃない、人間くさい私が好きなのだ、って。
それだけの、こと。ただそれだけのことが、妙に嬉しい。
私はポーチから、頓服のエチゾラムを取り出す。これには何度もお世話になって、今は服用しても、ちっとも眠くならなくなってしまった。でも、私のお守り。
一粒の薬を手に、私は自問する。
プロデューサーも、スタッフも、ファンも。私を求めてくれている。さて。
今、私はアイドルでいられている?
今、私は私でいられている?
よし、大丈夫。
私はそれを服用することなく、ポーチへしまい込む。
顔を上げた先、鏡に映る私は確かに、アイドルの顔をしていた。
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