112: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/21(月) 22:57:08.87 ID:brMXuKjJ0
「ああ、ごめんなさい。実は楓ちゃんのこと、少し知ってる。申し訳ないんだけれど、ちひろさんから聞いたの」
「え、じゃあ」
「うん。今、楓ちゃんが『うつ』で苦しんでいること、知ってる。でも安心して。私しか知らないし、誰にも教えてない」
瑞樹さんは私の言葉を制し、真摯に告げる。
できれば知って欲しくなかった、そう思う気持ちと、瑞樹さんならよかったという、安堵。
心がかき混ぜられる感触に、身震いする。
「その上で楓ちゃんには、言わせてもらうわ……今の楓ちゃんは、おかしい」
「……なに、が……です」
「その目。目よ」
私の、目?
瑞樹さんはまっすぐ、私に言う。彼女の言葉の意味が、私には分からない。
「私の目、どうかしました?」
「楓ちゃんは気付いてないのでしょうけど、ううん、気付いててもかしら。今のあなたの目、なにかを犠牲にしているような、ぎらついた目をしてる」
「……」
私は、そんな目をしているのだろうか。ぎらついた目。私のは心当たりがまったくない。
「今の楓ちゃん、まったく余裕がないように見える。まあ、私の見立てだから同意することないわ。でも、ひとつだけ言わせて」
瑞樹さんは、私になにを告げるというのだろう。
216Res/171.18 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20