高垣楓「あなたがいない」
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103: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/21(月) 22:50:56.33 ID:brMXuKjJ0

「ここはアコギメインで、編成をアコギとピアノ、パーカスのトリオでどうかと」

 我々チームを含む、ライブスタッフのミーティングが続く。ここにアイドル自身が加わる必要はないのだけれど、私はできるだけ参加するようにしていた。
 スタッフメンバーからレジュメを渡され、簡単に目を通す。なるほど、編成の確認か。

「高垣さん。いらしたばかりでなんですけど、この編成についてはなにかアイディアは?」

 進行役に突然振られる。私は移動中に考えていたことを打ち明けた。

「そうですね……この曲について今回は、弦の音を生かした形にしたいかと。例えば……アコギを三本にパーカス二名で、とか」
「なるほど、するとサポメンの選定が難しいですね」

 こんな感じ。私のアイディアはアイディアとして、会議の中に取り入れられる。
 もちろん、採用されるとは限らないし、私のライブとは言え、周りのスタッフのほうが海千山千の猛者ぞろいなのだし。
 だから私は、安心して言いたい放題できるのだ。

「やはりサポメンのやりくりに問題がありそうですし、高垣さんの案は今回は申し訳ないですけど」
「ええ、結構です」

 こうして今日も、つつがなく進行していくのだった。




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