羽川翼「それが……我が主人のお望みとあらば」阿良々木暦「決まりだな」
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/09/08(火) 23:03:32.45 ID:lUuaoiGOO
「なあ、羽川」

わざわざ下僕に目線を合わせるように跪き、優しい優しい私のご主人さまは甘い言葉を紡ぐ。

「僕は別に王になんかなれなくたって、お前と一緒に穏やかに死んでいければそれで良かったんだ。そのために、お前を眷属にしたんだよ」

知ってる。私に血を吸わせ私の血を吸う。
それはきっと甘く美しい、至高の安楽死。
主人の望みは従僕の望み。添い遂げたい。

「でも、阿良々木くんは優しいから……」

考えるまでもない。その時、彼がどうするか。

「最期の一滴まで飲み干せないでしょう?」

そう言った瞬間の彼の苦い顔が、私は愛しい。

「あなたが居ない世界なんて私はいらない」

彼が死に、私が生き残る。そんな世界ならば。

「そんな残酷な世界は存続する意味がない」
「かかっ。初めてうぬと意見が合ったのう」

ハートアンダーブレードさんの同意を得て確信を深める。

「結局はどっちが早いかだよ。阿良々木くんが正気を失って、自ら命を絶って世界が滅ぶのか、それとも滅し尽くした後に一緒に死ぬか」

極論を持ち出すと、彼は呆れたように笑った。

「究極の2択だな」
「無理強いはしないよ」
「じゃあ、第3の選択肢として、正気を保ったまま悠久の時を過ごすってのはどうだ? 僕たち3人、それぞれ死ぬ寸前まで血を吸い合って、誰にも迷惑をかけずひっそりと生き続けるんだ」
「それが……我が主人のお望みとあらば」
「決まりだな」

阿良々木くんなら、きっとそう言うと思った。


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