12: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/09/08(火) 21:30:36.83 ID:REk/3TwAO
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平塚先生と別れてから十数分。
あの言葉の直後、どうやら旦那さんから子どもに関するSOSが飛んできたらしくお開きとなってしまった。SOSとは言っても些細な話らしく、「仕方ないな」と口にした平塚先生の表情が印象的だった。
喫茶店を出て数分のところにある、煙草屋の前に常設されている灰皿の前でライターの火を点ける。
「すぅー、はぁー……」
煙草を吸い始めたのは雪乃と別れてからだったような気がする。何も特に考えることもなくメビウスとライターを買って、最初は咽せるばかりでどうしてこんなものに金を出したのかと思っていたのに、いつの間にかただの中毒者だ。
でも、今はこいつは俺の人生に一役買っている。
生きているとふいに嫌なことが思考の中に浮き上がってきて、それは水の中に垂らした墨のようにジワジワと広がっていく。気づけば淀んだ色が頭を埋め尽くしている。
それをリセットしてくれるニコチンは、今やなくてはならないものとなってしまっている。
「卒業、か……」
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