小宮果穂「クズミさんがゴミを捨て」
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9: ◆eodXldT6W6[saga]
2020/09/06(日) 07:31:32.39 ID:sPru/fk9O

 果穂はベンチにへたりこみ、太陽の光がさんさんと降り注ぎ、清潔で真っ白な公園をただただ見つめていた。暑さのせいで汗だくだったが果穂が感じていたのは悪寒だった。洪水に飲み込まれたかのように全身がびしょ濡れになっていた。陽炎の揺らめきが次第に本物の火に見え、その火は公園の木や遊具や街の人や子どもを焼き始めた。そのあとの光景は社会見学で行ったごみ焼却場で出た灰の山のようだった。

 幻影はすぐに消えたが、その余韻はひどく重く残った。打ちのめされた気分だった。果穂は敗北感を味わっていた。ヒーローのように。

 果穂はヒーローだったらこういうときどうするか考えた。


果穂「ヒーローなら、立ち上がる……」


 果穂はそうひとりごち、そのとおりにした。

 思ったより立ち上がるのは簡単だった。むしろ勢いがつきすぎて前に倒れそうになったくらいだった。立ち上がりはしたが、足元はふらふらしていた。果穂はマイボトルからスポーツドリンクを飲もうとしたが、あまり残っておらず水分を渇望する身体にはまったく足りなかった。

 自販機が目に入り、果穂はふらつきながらそこへ向かって歩き出した。



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