アイドルと僕
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52:名無しNIPPER
2021/12/01(水) 01:43:40.12 ID:t1e2pFQTO
大学三年ともなれば、周りの人間は二分化されていく。意識高くインターンシップやら留学やらに動き出す奴らと、種族大学生と言うべきか、堕落して特に何かを頑張ったりもしていない奴ら。

どちらかと言えばガリ勉優等生タイプが多いうちの大学は、どちらかと言えば前者が多い。もちろん一定数、大学でビューを勘違いした奴らが遊んでいるだけの場合もあるが、そんな奴らはごく一部だ。橘だって見た目こそ金髪を伸ばしてピアスを開け、これぞ大学生というようにチャラついているものの、後期からは大学を休学して一年間海外留学に行くらしい。本人は恥ずかしがって「ダンス留学だよ」と口にしているものの、大手商社を目指していると聞いたことがある。あいつはあいつなりに、目標に向かって努力をしているらしい。

そんな中で俺は、何を頑張っていいのかということが分からないままに何となくで生きている。なぜ頑張らないといけないかということではなくて、何に取り組んでいいのかが分からないというのは、結構なコンプレックスになることなのかもしれない。頑張っている人を見ると、自分が無性に恥ずかしくなる。

サッカーの日本代表に高校野球、スポーツに限らずに例えばアイドルやバンド、橘みたいに勉強やダンス、何でも頑張ってるやつっていうのは輝いて見える。馬鹿にしているとか誇張表現とかではなくて、純粋に羨ましいなと感じる。

そこまで頑張りたいものも、頑張らなければいけないものも自分には見つからなくて、誰にも言えないけれどそれが恥ずかしかった。何となくで大学の授業を受けて、何となくでバイトをして、たまの楽しみにフットサルをしたりライブをしたり。生産性は無い代わりに消費だけは行っていて、自分は誰かにとっての「特別な誰か」なることはできずに、大衆の一人として消えて行くような気がしていた。それを嫌だという気持ちはあるのに、それでも何をすればいいのかということは分からなかった。

それこそが怠惰ということは分かっていても、どうすれば良いかが分からなかった。


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