アイドルと僕
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5:名無しNIPPER[saga]
2020/09/03(木) 21:46:42.65 ID:Sa1ZNgmGO
「続いて二曲目……と生きたいところですが、本日は時間の都合で次の曲が最後です」?

司会者が観客を煽るようにそう告げると、ファンらしき人たちは口々に不満の声をあげた。

ステージ上の彼女たちは満足げにそれを見て頷きつつ、マイクを手に取った。

「私たちはアイドルさんのコピーユニットとして活動しています!??二ヶ月後には初めてのワンマンライブも予定しているので、ぜひ遊びに来て下さい。よろしくお願いします!」

リーダー格らしい、センターに立つ彼女はそう言うと頭を下げた。それにならって、他のメンバーも頭を下げる。

コピーユニット、って言葉は初めて聞いた。後で調べてみようと心のなかにメモをして、二曲目が始まるのを待つ。

「それでは最後の曲です。『人魚の涙は何色か?』、どうぞ!」

そして流れてきたのは、やはり先ほどと同じアイドルグループの歌だった。これも、高校生の頃はよく聞いていた。

軽快な音楽に合わせてステップを踏んでいる。一番、二番と続いてもそのリズムが狂うことはなかった。

大サビに入る前、ファンのことを煽るようにメンバーがステージ前方で横一列になった。

「ハイハイハイ!」

叫びながら手拍子で観客を煽っている。前方のファンはもちろん、座って見ていた一般のお客さんたちもそれに応えるように手を叩いていた。

俺はというと、名前も知らぬまま、ツインテールの彼女を眺めている。

不意に、目があった。気がする。

ニコッと微笑んで、俺に向かって手を叩いて見せた。気がする。

あ、可愛い。

この時、俺は彼女に落ちてしまった。それだけははっきりと分かってしまった。


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