アイドルと僕
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35:名無しNIPPER[saga]
2021/05/16(日) 23:38:42.47 ID:Tcj2w3PnO
対面してお互いの自己紹介を終えると、彼女はぷっと吹き出した。

「これ、さっきの新歓のうちにしないといけないことだったんじゃない?」

「確かに!」

二人で目を合わせて笑っていたら、同じく一次会で抜けたらしい栞と知代にも声をかけられて、四人で一緒に帰った。

結局、あのサークルには誰も入らなかったけど、みんなと知り合えたという意味では有意義だったなと今でも思う。

過去を思い出しながら、栞の後ろの席に座った。栞の隣は知代で、その後ろに彩と私というのがいつもの並びだ。とはいえ、ここしばらくは私の隣は空席になることが多い。

「彩、今日は来るかな」

栞が首をこちらに向けて問いかけてきた。それに私が返す前に、知代が答えた。

「来ないんじゃない?最近、連絡もなかなかつかないし忙しいんでしょ」

「大変だねぇ、アルバイトとは訳が違うもんね」

栞がそこでわざとらしくため息をついたのは、嫌みなのか同情なのか私には計りかねた。

「アイドルっていうのは、楽じゃないね」


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