アイドルと僕
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34:名無しNIPPER[saga]
2021/05/15(土) 00:40:49.53 ID:jrCbSVz2O
「え?」

なぜそんなことを私にという戸惑いと、彼女の美しさに緊張して、私はすっとんきょうな声で問い返した。

「お店のなかでずっと、私の方見てたから、その、何か気になることがあったのかなって」

言葉にされて、私が彼女を見ていたこと、というより見とれていたことがばれていたということに気づいた。何と返していいか悩んだけれど、嘘をつくよりも正直に言ってやれ、と開き直った。

「いやー、あの、その、綺麗な人だなぁ、って」

努めて嫌みに聞こえないように、照れながら伝えた。

「あー、えっと……うん、ありがとう」

私が伝えるのに戸惑ったのと同じくらい、彼女も戸惑っていたようだった。

こうなればままよ、と私は続けて口を開いた。

「私、文学部一年の羽明ねるっていいます」

あなたは?という表情を作り彼女を見据えた。

「私は、三森彩。同じく文学部の一年。よろしくね」

ぺこり、と頭を下げる仕草まで優雅に見えて、可愛いって本当にずるいことだなと嫉妬してしまうほどだった。


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