14: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:46:50.92 ID:qUczw4Pjo
酒井はスマートフォンを見せてくる。
画面に映る、自分らしき誰かが。
見せたことのない笑顔を向けている写真がある。
15: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:49:10.26 ID:qUczw4Pjo
◆
学生時代は、暗黒だった。
16: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:54:17.86 ID:qUczw4Pjo
子供みたいな疑問が胸中渦巻いて、けれど言葉にすることは、返事が、言葉が帰ってくるのが恐ろしくてどうしようもなくて黙り込む。
だけど、だけどさぁ。
本当に?
ここは俺のための楽園?
17: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:56:48.94 ID:qUczw4Pjo
◆
気付けば俺は、酒井を助手席に乗せて車を走らせていた。なぜだか分からないが、そうしなければ行けないような気がしてしまったからだ。
失われたとしまえんと俺の記憶、そしてそれを取りに行かなければいけないと義務感が生まれだしているようだった。気持ち悪いが、胸中動き出した衝動性を止める力もない。
18: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:59:32.05 ID:qUczw4Pjo
ずっと走っていった先に、突然開けた場所が出てきた。まるで広場か何かのように見える。
地面が不自然にごろごろとした岩ばかりになり、車も多少揺れながら走っていくほどである。万一のことを考えて道を塞がないよう少し車を走らせ、広場の中央辺りに車を停める。
周りにはおかしなものは何もないように思えたし、特段変わったことはなさそうだ。それでも、なんだか全身がざわついた。車を降りると8月にしては寒すぎる風が吹き、酒井が寒そうに二の腕を擦った。8月とは思えない風なのは仕方がない、だって今の世界には夏がないんだから。
だったら取り戻さないと。
19: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/27(木) 00:02:32.27 ID:b25Vyfuyo
◇
次に目を覚ましたのは石畳の上だった。俺と酒井は一緒のエリアで伸びていたようだ。
突然のことで全身が重い石になってしまったようで、ぐったりしながらだがなんとか体を起こす。やけに周りが騒音だらけだなと不審に思いながらも、それでも優先すべきはこちらだろうと感じ、瞼を閉じた酒井の肩をとんとん叩いて起こしてやる。
20: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/27(木) 00:05:30.77 ID:b25Vyfuyo
「マッッッッッジでムカつくなアンタ!殺していい!?」
「ええ?なぁに、そんな怒ることねえじゃん……いてーな、殴るなよお前」
「いやアンタ自分が何してんのか分かってんの!?」
21: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/27(木) 00:09:02.94 ID:b25Vyfuyo
「もういいか?」
俺の呆れ顔を見て、男達は取っ組み合いを中断する。これからどうすればよいのかは知っている。
「酒井、最後に聞かせてくれよ」
22: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/27(木) 00:09:40.59 ID:b25Vyfuyo
◆
2020年の8月は本当に暑い日がずっと続いていた。なんだってもう、こんなに暑いんだろうかと嫌になる。
気づけばどこだが分からない場所で倒れていた。なんだよもう、俺何してたってのよ。ゆっくり起き上がると砂が体についていて、ああ、汚えなあと思いながらほろってあちこち見ると、外が真っ暗で、しかもそこが公園だと言うことがわかった。
23: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/27(木) 00:11:34.50 ID:b25Vyfuyo
としまえんが閉園するので初投稿です。
誰得アルピー小話シリーズでした。最近もうどっぷりです。やべー。
しくじり学園とラジオ本放送を楽しみに毎日生きています。
24:名無しNIPPER[sage]
2020/08/27(木) 13:14:11.22 ID:yhGD6h+O0
っぱアルピーss最高だわ。
ダイナマイトボートレース!
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