提督「観光するか」 金剛・瑞鶴・響「はいっ!」 空母棲姫「…………」
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68:妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A[saga]
2020/08/29(土) 23:54:34.75 ID:whwWUOix0
空母棲姫「そうだと良いのだけど……」

提督「きっとそうだ。……さて、少し時間が出来てしまった。何か雑談でもしようか」

空母棲姫「何を言っているの。荷造りはまだ終わっていないでしょう?」

提督「終わっているぞ。執務机の上に置いてある物で全部だ」

空母棲姫「……待って下さい。あの少し大きめの段ボールの事を言っているの?」

提督「ああ。私の私物はあれで全てだ」

空母棲姫「……紅茶の食器とかが入っていないようなのだけど」チラ

提督「あれらは金剛達に残す。何かに使えるかもしれん」

空母棲姫「残酷ね。きっとあの子達は泣くわよ」

提督「何も残されていない方が辛い。褪せて薄れ、少しずつ侵食するように消えていく記憶しか残らないのは、本当に辛いぞ」

空母棲姫「それは……貴方の経験談かしら」

提督「ああ。……金剛たち以外の艦娘との思い出の品は、全てそれぞれの子達に残していった。私の知らない思い出だってあるはずだ。壊れなければずっと残り続ける『物』さえあれば、褪せるのも消えるのもずっと遅くなる。その『物』が無ければ……どれだけ大切で生涯記憶に残すと決めていても、消えていくんだ。たった二年だというのに、私もあの子達の細かい事が思い出せなくなってきている」

空母棲姫「悲しいわね……」

提督「ああ……。この時ばかりは忘れて欲しくないのに、な……」

提督「──暗い話はここまでだ。ここに居る間、私は金剛達やお前の提督。弱い姿はあまり見せない方が良いだろう」

空母棲姫「……強いわね」

提督「そうでもない。ただの痩せ我慢だよ」

空母棲姫「なら、痩せ我慢しなくても良いようにしましょうか。──貴方の故郷について教えてくれるかしら」

提督「故郷か? ……そうだな。何も無い場所だ」

空母棲姫「随分と想像し辛い事を言うわね……。なんて地名なのかとか、少しは目立つ物があったりするでしょう?」

提督「ふむ。伊勢と呼ばれている場所だ。しかし……なぜこれから向かう場所の事を訊くんだ?」


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