中野攻「墓碑のような夜のビルの前に花束が」 【亜人SS】
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◆8zklXZsAwY
[saga]
2020/08/16(日) 22:17:30.62 ID:FGITa5EtO
投票日はフォージ安全で佐藤と戦った日からちょうど一年後だったので、おれは家からいちばん近い投票所には行かなくて、途中で元フォージ安全のビルの前を通る投票所へ行った。
午後から半休を取って、電車を乗り継いでバスに乗った。バスの中で投票の流れをスマホで調べながら、たまに窓から景色を眺めた。めちゃくちゃ高いビルに、歩道を歩く半袖のカッターシャツの会社員たちが見える。おれとは無縁な人らだと思ったけど、もしかしたらこの中に亜人がいるのかもしれないとも思った。見覚えのあるビルが近づいてきているのが見えて、おれはバスから降りた。投票所までちょっと距離があるけど、歩いていけなくはなかった。
おれはぽっかりと人通りが消えたビルの前に立って、頭を上げた。フォージ安全は社長が殺されてから倒産して、別の大企業がこのビルを買い取ったって話だった。いろいろあってこのビルにはまだその会社は入ってなくて、いまは忘れ去られたみたいになっている。
おれはビルの上の方を見ていた。十五階のあたりと屋上のあたり。平沢さんと黒服の二人が死んだ場所。あとから聞いた話だと、真鍋さんは生きていて病院に運ばれたんだけど脱走して、いまは行方不明になってる。真鍋さんが生きていてうれしかった。できれば会いたかったけど、真鍋さんなら元気にやってると思う。
誰もいないビルは墓石みたいだった。花もお供え物もなかったので、帰りになんか買ってこうと思った。花屋で買い物するのははじめてだから緊張しそうだと思いながら、おれは投票所へ向かった。
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