2: ◆yufVJNsZ3s
2020/08/12(水) 23:34:06.83 ID:NLnJB+H60
確かに、列車に揺られているあいだ、その殆どの時間は海沿いに敷かれた鉄路を往っていた覚えがある。山に遮られて見えないが、海に近い土地なのだ。
言われてみれば潮のかおりが僅かに漂うような気もしたが、いや、単なる気のせいに違いない。五感ほど調子のいい器官も珍しいから。
窓を開けて身を乗り出し、漣が遠くを指さす。危ないからやめろ、と窘めても、「ご主人様あそこ、あそこ!」と聞きやしない。
サイロだった。五棟……で数え方は正しいのだろうか? 淡く茶色い煉瓦造り。もしかしたら建設当初はまばゆいほどの赤だったのかもしれない。だとすれば、それだけの年月を風雨に晒されてきたことになるが。
「あれ! なんか凄い歴史的なやつだっておばあちゃんが言ってました! 戦後、外国から来た偉い人が作ったやつだって! 文化財だって!」
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