70: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/12(水) 00:59:15.34 ID:yGgQ9HDMO
魔王が首を振った。
「……生命の気配がない。街の門番は、あのデイヴィッドという男に事前に殺されているな」
「嘘……」
「大方、俺に全てを擦り付けるつもりなんだろう。……こうなった時のことまで考えていたわけだ」
果たして、門のそばには袈裟斬りに両断された死体が2体転がっていた。私の胃から、少し前に食べたシチューが逆流しそうになる。
「うぷっ……」
「……弔ってやるか」
魔王はそういうと、死体に手を触れた。急速にそれはしぼんでいき、やがて砂になって消えた。
「何をしたの?」
「……腐食魔法の一種、としておくか。惨殺された死体など誰も見たくはないだろう。特に、こいつらの家族は」
数分かけて、「弔い」は終わった。血がまだ辺りに残っているけど、一晩経てば地面に染み込むだろう。
「……行くか」
魔王は小さく言った。その目は……微かに濡れている?
それは気のせいだったのだろうか。
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