71: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/12(水) 01:00:15.66 ID:yGgQ9HDMO
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疲れと精神的な衝撃から、ユージーンに着くまで会話はほとんどなかった。
着いたのは深夜。安宿に着くと、魔王は無言で金貨1枚を眠そうな女将に渡した。
「夜分すまない。行商の身だ、これで一部屋頼む」
「これって……ちょっと、宿代の10倍だよ?」
「深夜押し掛けた迷惑料込みだ。他言無用で頼む」
女将は首をひねりながら、私たちを部屋へと案内した。埃っぽい部屋だけど、文句は言えない。
「とっとと水浴びでもしてろ。俺は先に寝る」
「ちょっと!」
「聞きたいことは明日聞いてやる。ただ、朝早めにユージーンを出るぞ。モリブスで人が待ってるんでな」
「人?」
ベッドの布団を被りながら、魔王が言った。
「俺のパトロンだ。ジャック・オルランドゥ」
……オルランドゥ……魔術都市と、同じ名字?
「ねえ、どういうこと?」
呼び掛けたけど、魔王はもうスウスウと穏やかな寝息を立てていた。
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