69: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/12(水) 00:58:36.01 ID:yGgQ9HDMO
「大丈夫っ!!?」
「阿呆、がっ……!!ザックの中に、薬瓶がある……丸薬があるから、飲ませろっ……」
私は急いでザックを漁った。……あった、これだ。
瓶の中には黒い丸薬が5個入っている。私はその1つを取り出した。……凄い刺激臭がする。これを飲ませるの?
「いいから、早くっ……!!そうだ、それでいい」
魔王は丸薬を口にすると、顔をおおきく歪ませた。そして、水袋を手にすると、苦渋の表情で流し込む。
「うえっっ……!!!相変わらず、酷い味だっ……クソっ、最悪の気分だな……」
「ごめんなさいっ!!私が逃げなかったせいで……」
チッ、と魔王がまた舌打ちした。
「全く、だ。貴重な『霊癒丸』を、ここで使うことになるとはな……!!よくそれで生きてこれたな、小娘」
返す言葉もない。私は唇を噛んで俯いた。
「……こいつを守りながらサンタヴィラまで行くのか、さすがの俺も自信がなくなってきたぞ……。しかし、行かなければ仕方ない、か」
よろめきながら、魔王が立ち上がった。
「……本当に、大丈夫なの?」
「あれは……マナを無理矢理詰めた、一種の強壮剤だ。一応、ユージーンまでは歩ける。多分」
私は辺りを見渡した。今の、誰かに見られたりしいていないだろうか?
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