魔王と魔法使いと失われた記憶
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639: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/08(火) 22:00:36.89 ID:NFy1JhCKO


ゴウッ!!!


あたしの横を、魔力の塊が通り抜ける!!!アヴァロンはすんでのところでそれを交わした。上空の魔力は、霧散したようだ。

「よくやったよ!!」

プルミエールが「魔導銃」を放ったのだ。彼女が銃を構えながら、ゆっくりとこちらに近付いてくる。

「大丈夫ですか」

「ああ……あれはやばかった」

忌々しそうにアヴァロンがこちらを見る。エストラーダ侯とエリック、そしてシェイドは少し離れた所にその戦いの場を移していた。あの手数に接近戦で対応するには、2人に任せた方がいい。事前に取り決めた通りだ。

そして、アヴァロンに対峙するのは……あたしとプルミエールだ。迂闊に近付けば、「グロンド」の「転移」の餌食になるからだ。

それにしても、さっきの「光の矢」……溜めが必要な魔法だったようだけど、あれはエストラーダ侯を含めた、あたしら全員を消し去りかねないほどの威力だったかもしれない。
魔法使いとしての純粋な力量も、相当高いのはもはや疑いない。軽い震えを、背中に感じた。

「……皆殺しにするつもりかい」

「正当防衛なら、神もお許しになるでしょう」

「……どこが正当防衛だよ」

この男の身体能力そのものは、そこまで優れてはいないはずだ。だから、あたしとプルミエール2人で銃を撃ちまくれば、アヴァロンを殺すことはさほど難しくないだろう。
……でも、それを躊躇させる何かがある。いや、既に罠を張っているかもしれない。


アヴァロンが「グロンド」を構えた。……「瞬間移動」でも使うつもりかい!?それとも「光の矢」?


あたしはその刹那、違和感を覚えた。さっきは身体が光っていた。しかし、今は……光っていない。


その杖の先は、プルミエールに向けられている。まずいっ!!!


「歪めなさい、『グロンド』」




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