620: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:57:25.79 ID:bvl3ZNmeO
「どうした?」
「ううん……ちょっと。嫌なことを考えちゃって」
「……そうか」
621: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:58:20.31 ID:bvl3ZNmeO
「どうしたの?……まさか、アヴァロンが来たとか」
「いや……違う。お伽噺じゃない。不可能じゃないぞ、それは」
「え?」
622: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:58:49.52 ID:bvl3ZNmeO
「ああっっ!!!」
私は思わず叫んだ。そうだ、シェイド君はもともと偽猫(デミキャット)だった。それがアリス教授によって亜人の姿になれるようになったんだった。とすれば……
「鍵はアリス教授が握っているわけ?」
623: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 21:59:41.56 ID:bvl3ZNmeO
用語紹介
偽猫(デミキャット)
猫に良く似た魔獣。人里周辺に住んでおり、農作物を荒らす害獣として知られる。猫との違いは尻尾が2本ある点にある。
624: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:00:08.49 ID:bvl3ZNmeO
第26-1話
625: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:00:54.94 ID:bvl3ZNmeO
目が覚めて時計を見る。5と半刻。枕は変わっても、寸分違わないことに私は満足した。
ここには信徒はいない。いるのは私と、「魔法環」で拘束されているエストラーダだけだ。
残る血はわずか。完成前に彼を解き放ったのは、私らしからぬ失敗だった。
626: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:01:21.83 ID:bvl3ZNmeO
……許されない。
627: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:02:03.06 ID:bvl3ZNmeO
全ては、予定通り、予想通りに行われねばならない。こんなことはあってはならぬ。断じて。そう、断じて。
628: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:02:36.44 ID:bvl3ZNmeO
ジリリリリ!!!
629: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:03:12.71 ID:bvl3ZNmeO
あまりに予想外の声に、私は絶句した。なぜ彼が?
そして……なぜ私がここにいることを知っている?
……気に食わない。心底気に食わない。現状は、あまりに想定を外れている。
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