629: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/12/04(金) 22:03:12.71 ID:bvl3ZNmeO
あまりに予想外の声に、私は絶句した。なぜ彼が?
そして……なぜ私がここにいることを知っている?
……気に食わない。心底気に食わない。現状は、あまりに想定を外れている。
そんな私を嘲笑うように、スティーブンソンは「ククッ」と嗤った。
『さぞ腰を抜かしてるだろうなあ、偽善者の司教さんよ。まあ隠す理由もねえから種明かししてやる。『シェリル』の『パランティア』だよ』
「何ですって」
『あんたの戻りが遅いから念のため『見たら』この有り様だ、そうだ。で、俺にお鉢が回ってきたってわけだな』
「……彼女自身が来ればいいでしょう」
『ところがそうも行かねえ。トリスで『本体』がヤバくなりかけてな、『主端末』ごと逃走中だ。まあ、亡命先はうちの国だろうよ。
そんなわけで、俺がそっちに向かうことになったってわけだ』
「貴方自身の任務は?アリス・ローエングリンを追っているんでしょう」
『ああ、『それも兼ねて』だ。モリブスのジャック・オルランドゥのとこを急襲したが、藻抜けの殻でな。どこかに消えやがった。
とすれば、魔王御一行がいるここが目的地と踏んだ。援軍が来て嬉しいか?』
「手出しは無用です。予定にない」
カカカカカと、耳障りな笑いが受話器から響いた。目の前にいたら、躊躇わず「グロンド」を握っていただろう。
『と言うだろうと思ったぜ。まあそっちはそっちでやりな。俺は勝手にやらせてもらう、魔王狩り含めてな』
「……それが言いたかっただけですか」
『いや……ハーベスタ・オーバーバックの件だ。なぜ裏切られた?』
スティーブンソンの声が低くなった。
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