607: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/30(月) 22:10:09.76 ID:KnL3hUx3O
そういうことか。……確かに、反吐が出る。
アヴァロン大司教の人となりは、薄っすらではあるけど聞いていた。
教義に忠実で温厚篤実、弱者に手を差し伸べる聖人。
……ただし、敬虔な信徒相手に限る。
モリブスの世俗派を、奴は獣より下の存在としか見ていない。
そんな奴が、モリブスの世俗派の長であるネリドと一緒にエストラーダ邸を訪れていたという時点で何かを察するべきだった……!
メディアが、軽く首を振る。
「それはあると思う。でも、それだけじゃない」
「もう一つの理由……子供が、大量殺戮を行ったという話にゃ?」
シェイドに、小さく彼女が頷いた。
「150年前、何が起きたかという記憶は『本体』を通して知っているわ。そして、『本体』は当時の『娘』と精神的に繋がっていた。
何が起きたかは、詳しくは分からない。でも、『女神の樹』はヒトから樹の姿に変わる時に、多量の生命を必要とするわ。多分、その時に……」
「生命としての本能、というわけにゃ。……そして、アヴァロンはその可能性を摘もうとしたわけにゃ」
「ええ。あの人は、邪悪ではない。少なくとも、本人は正しいことをしているとしか思っていない。
そして、世界のことだけ考えるなら、それは正しい。私は……子を為してはならぬ運命(さだめ)」
「ふざけるなっ!!!」
カルロスが立ち上がった。
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