608: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/11/30(月) 22:10:49.85 ID:KnL3hUx3O
「君はどう考えているんだ!!世界のことなんて、そして今後のことなんてどうでもいいっ!!
君の、本当の気持ちを知りたいんだよ!!」
メディアが言葉に窮した。会ってから僅かの時間しか経ってないけど、この娘は無感情じゃない。少しだけど、感情はちゃんとある。
長い沈黙の後、彼女の目から涙が一筋流れた。
「……分からない。これが『本体』の本能なのか、それとも私の感情なのか。
でも……許されるなら……私は、カルロスともっと一緒にいたい。でも、そんなこと……できるはずもない」
「メディアっ……!!」
カルロスが、彼女を胸に抱いた。
……若さだねえ。ただ、感情だけではどうしようもないことは、ある。
「じゃああんたはどうすればいいと思うんだい?清い関係を一生続けたまま、遠くに逃げるのかい?」
「……いや、アヴァロン大司教は討つ。……話はそれからだ。とにかく俺にも、何か手伝えないか??」
「……あんたは、その子の側にいてやんな。それがその子のためにもなるはずさ」
カルロスは、前線には出せない。アヴァロンたちをここで迎え撃つことになるだろうけど、迂闊に彼を晒せばまず狙われるだろう。
それに、彼女の精神を安定させる要因にもなる。多分、これが最適だろうね。
ところが……シェイドが納得していないように首を捻った。
「……どうしたんだい?」
「いや、あまり良くない予感がするにゃ。根拠はないにゃ、ただ……」
「ただ、何だい?」
「誰かもう一人、2人についているべきだと思うにゃ。万一の時の備えにゃ」
「まあ、そうだねえ……」
そうなると、アヴァロンとエストラーダ相手に3対2か。ただ、あの怪物と化したエストラーダ相手にこれは少し難しいかもしれない。
それに、テルモン軍とユングヴィ教徒もいる。味方ごと殺したアヴァロンに、どれだけ付いてくるかは別としてもだ。
あたしは悩んだ挙げ句、結論を下した。
「いや、2人の所まで辿り着けないようにすればいいさ。テルモン軍への工作は、あたしがやっとく」
「どうするにゃ」
「カサンドラを通してみるさ。第4皇子が彼女の客として来たからね、そこから頼み込んでみるよ。
さすがにアヴァロンの今回の所業は、テルモンとしても看過できないはずさ」
「……分かったにゃ。ボクも同行していいかにゃ?」
「構わないよ」
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