魔王と魔法使いと失われた記憶
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480: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/27(火) 19:59:37.61 ID:kXxvSfJ/O
「それがそのメディアって子と関係があるってわけ?」

モグモグとサラダを頬張りながらプルミエールが訊く。

「分からないにゃ。でも緑髪はエルフ以外にほぼ見ないにゃ。そしてユングヴィ教団絡みということで連想しただけにゃ。ただの偶然かもしれないにゃ。
カルロスだったかにゃ?何か他に思い付くことはあるにゃ?」

「……そう言えば、俺が熱を出した時……看病してもらったな。彼女が出した薬を飲んだら、すぐに全快したっけ」

「なるほどにゃあ。……まあ、何かしらある子とボクの勘は言ってるにゃ」

「そうなると、アヴァロンとの関係だねえ。たまたまなのか、絡みがあるのか……」

首をかしげるデボラに、カルロスが呆れたように言った。

「……ちょっと待てよ。あんたら、ロックモールに何しに」

俺はデボラと顔を見合わせた。正直、こいつを助ける義理はないし、目的を言う意味もない。
俺としてはアヴァロンを殺すのが第一だ、その上で、可能ならロペス・エストラーダを救出する。こいつに構っている余裕はない。そのはずだった。

ただ、カルロスの女がユングヴィ絡みではという話は引っ掛かる。こいつに協力する意味が、ひょっとしたら……


「決まってるじゃないですか、あのアヴァロンを倒しに……むぐっ」


俺は慌ててプルミエールの口を押さえた。眼鏡が外れそうになる。

「何言っているんだ馬鹿がっ!!」

「んぐっ、だって事実でしょ?隠しててもしょうがないじゃない。彼を放ったままロックモールに行く気?」

連れていく利点がないと言おうとしたが、そうとも言いきれない。そして、こいつを連れていくなら俺たちの目的はいつか話さねばならないことだ。

「え……今倒しにって」

「文字通りの意味だ。最近までロックモールにいたなら知らないかもしれないが、エストラーダ候が行方不明になった事件があってな。
この件とアヴァロン大司教は絡んでいる。というか、犯人だ」

「……は?」

デボラがそれに続ける。

「その後に大規模な争乱が花街であってねえ。その首謀者にも奴はちょいと噛んでるんだ。つまりは、奴はモリブスにちょっかいを出したのさ。それも悪質な、ね。
だから一応、この件はベーレン候からは黙認してもらってる。まあ、他にも色々あいつを殺したい理由はあるけど、それはあんたには関係ないから言わないよ」

「まあ、そんなとこだ。そしてお前に協力するのは、俺たちの目的にとって全くの無意味でもなさそうだ。
俺たちにお前が恨みを持っているのは知っている。それは仕方がない。だが、お前が望むなら手を貸してもいいとは思っている」

カルロスがまた唇を噛む。10秒ほどの沈黙の後、顔を上げた。

「お前らを許したわけじゃないっ。けど……父上が討たれた理由も、理解はしている。
……恥を忍んで言う。俺に協力してくれ」

「条件がある。相手はお前が思うよりずっと強大だ。だから、絶対に前に出るな。そして、女の件が片付いたらロックモールから逃げろ。分かったな、小僧」


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