魔王と魔法使いと失われた記憶
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478: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/27(火) 19:56:50.14 ID:kXxvSfJ/O
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「うん、美味しいにゃあ。この鶏がまた病み付きになりそうな味だにゃ」

鶏のティッカ焼きを頬張りながらシェイドが言う。それを無視して、デボラが訊いた。

「で、どういうことだい?ロックモールから逃げてきたって感じだけど」

「ああ……でも、彼女を助けたいんだ。でも、俺だけじゃ……」

「彼女って、恋人さんですかぁ?」

とろんとした目でプルミエールが言う。初めて会った時もそうだったが、存外こいつは酔いやすいな。その割に潰れにくいようだが。

「あ、いや……どうだろう。でも、俺にとっては……大切な人なんだ」

「なるほど、その人のことが好きなんですねぇ。詳しく話してくれますか?」

カルロスが視線を落とす。

「……彼女と出会ったのは、1ヶ月ぐらい前だ。たまたまロックモールの視察に来ていた俺は、花街の入口で男たちに囲まれている彼女に出会ったんだ。
花街での無理な勧誘はご法度だ。男たちはテルモン系の連中だったが、俺が名乗ると手を引いたよ。そして……俺は……」

「一目惚れしたってわけね。それがどうかしたのかい?あんたなら囲っちまうことは簡単じゃないか。
それとも何かい、その子はテルモン皇室のお姫様で、引き裂かれそうにでもなったとか言うのかい?」

「わ、分からないんだ」

「は?」

デボラがグラスを下ろす。カルロスは唇を噛んだまま俯いたままだ。

「彼女は、『私をしばらく守ってくれませんか?』とだけ言ってきた。俺も快諾したよ。
そして、しばらくロックモールで過ごしたんだ。……夢のような日だった。けど」

「テルモンが攻勢をかけ、あんたは逃げ出し、彼女は捕らえられた。まあよくありそうな話だねえ。
でも、なんでその娘をテルモンは捕らえたがってたんだい。それが分からないことには何とも言えないねえ」


「……それが分かれば苦労はしないさ。ただ、ユングヴィ教団の連中もいた」




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