447: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/21(水) 19:16:41.33 ID:mjsf9+/tO
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「久し振りの教授のケーキ、本当に美味しいですっ!!」
「ふふ、ありがと。食材、本当に増えたわねぇ。このポックリとした味わい、流行るんじゃないかしら」
目の前に出された「パンの実のケーキ」は、確かに旨い。ふんわりとした素朴な味わいだが、コクもある。パンの実を裏漉ししたクリームが、旨味をさらに引き立てる。
甘いものは決して好きではない俺だが、これなら十分に食べられる。何より、深煎りのコーヒーとの相性が素晴らしい。
「にゃ!今度コンキスタ通りのケーキ屋の子に、レシピ教えるにゃ!」
「それをダシにするつもりならダメよ」
「にゃぁ……ボクに自由はないのかにゃ……」
「ジャックだけの時に散々好き放題したでしょ?貴方もちゃんと躾なさいな」
「……面目ない」
こんなジャックは初めて見た。口許が思わず緩む。
「何が可笑しい」
「いや、珍しいものを見たんでね」
「お前もいつかこうなるさ」
「……は?」
「まあそれはいい。アリスに質問があるんだろう?いつかは知る話だ、俺の方からも説明するが」
アリスが真顔になり、小さく頷いた。
「私に話せる範囲で話すわ。何でも言って」
真っ先に手を挙げたのは、ランパードだ。
「いきなり引っ掛かるな。『話せる範囲』ってことは、言えないこともあるってことだよな?」
「さすがランパード卿、鋭い質問ですね。厳密には、『推測は話さない』ということです。私も確信が持てていないことが、多々ありますから」
「何に対しての確信だ?」
「『六連星』の真の狙い。そして、テイタニア・ランドルスとシェリル・マルガリータとの関係。後者については、マリア女王の方が知っているでしょうね。だから私が推測を話すべきではない」
「前者はどうなんだよ」
ジャックが割って入った。
「それは、『サンタヴィラの惨劇』の真実に深く関わっていると推測する。ただ、これは俺たちにもよく分からない。
一つ言えるのは、真実を暴かれるのを連中はこの上なく恐れているということだ」
「それは、『三聖女』テイタニア・ランドルスにも関わることですか?」
プルミエールの質問を、アリスは肯定した。
「彼女は多少なりとも真実を知っているでしょうね。だからこそ、貴女たちを狙った」
「でもおかしくないですか?何故、『三聖女』が……」
俺も口を挟む。
「そうだ。それに、奴の右腕は……義手だった。恐らく『秘宝』の」
「斬ったのは多分、貴方のお父様……ケイン・ベナビデスね。そして、彼は私たちの仲間だった」
……何?
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