魔王と魔法使いと失われた記憶
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446: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/21(水) 19:14:38.94 ID:mjsf9+/tO
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リリスのことはデボラに任せ、俺たちは一度ジャックの家に戻った。「4日前まで戻すのは相当難儀だねぇ」ということだったが、何とかしてくれるはずだ。
エストラーダ候の家の跡地については、後に回すことにした。昨日のこともあり、プルミエールもさすがに疲れている。

「よう、リリスの様子は?」

ランパードが松葉杖をついて出迎えた。心配そうにエリザベートが横で支えている。

「一応、経緯は分かった。客として来た『シェリル』にやられたらしい」

「……やはりな。まあ、悪い奴じゃねえんだ。寛大な処置を頼みたいところだが」

「そういう方向性らしいな。アリスは」

厨房からエプロン姿の彼女が顔を出した。

「どうしたの?」

「色々訊きたいことがある。あの『シェリル』という女、そしてお前自身についてだ」

「まあちょっと待ってなさい。『パンの実のケーキ』が焼き上がるから、お茶でもしながら話しましょ?肩肘ばかり張ってると、疲れるわよ?」

奥からはシェイドの声も聞こえる。どうやら教えながら作っているらしい。

「……のんびりしたものだな」

「あなたもその仏頂面やめればいいのに。……もったいないわよ」

「何がだ」

「……!!な、何でもよっ」

プルミエールが顔を赤くした。エリザベートとランパードがニヤニヤしている。

「……何がおかしい」

「いやあ、素直になった方がいいよ?エリック」

「……は??」

顔の温度が一気に上がる。いかん、さっきの睦み合いを見てしまったからか、どうにも調子が狂っている。
そもそも昨日の昼、口移しに丸薬を飲まされたのがおかしかったのだ。本人にその気があるのかないのか、ハッキリしてくれないと……困る。

「ちょ、ちょっと!!?」

「んふふ、プルミエールも正直に言えばいいのに。お姉さんには大体分かってしまうんですねぇ」

「な、何がっ」

「そりゃ決まってるでしょ?エリックを……あ」

向こうでアリスが微笑んでいる。……何か知らないが、異常な圧を俺でも感じた。

「エリザベート、そこまでにしなさい。ケーキが焼けたわよ」

「は、はいぃ……」

エリザベートが一発で大人しくなった。居間からは、芳ばしい匂いが漂っている。
俺は少し安堵した。……彼女の気持ちを聞くのが、怖いのか?それとも……



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