436: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/19(月) 18:24:47.31 ID:tjvlTkr2O
「……そうなんですか」
「まあな。若い頃の無理が祟った、というべきかな。……コフコフッ、『魔素』が、俺の身体を蝕んでいたらしい」
「『魔素』?」
「高濃度のマナ……お前らの修練とは比べ物にならんやつだ……それを浴び続けていると、身体が徐々に狂っていく。
この超高濃度のマナを『魔素』という。俺が車椅子になった原因が、それだ」
教授が静かに同意する。
「まあ色々無茶をしたからね、お互い。私も多分、そう遠くない未来に発症するんでしょうね」
「え……!?」
「やぁよ。私はまだ大丈夫だって。ただ、ジャックは……」
「そうだな。明日明後日ということはないが、いきなり病状が急速に悪化しても驚きはない。だから、俺の身が朽ちる前に、お前たちに色々遺しておきたいというわけだ」
ジャックさんの表情は穏やかだ。もう、きっと覚悟は決まっているんだろう。
エリックが小さく息をついて苦笑した。
「プルミエールたちが、最後の弟子というわけだな」
「知ってるだろうが、俺は弟子を取らんぞ。お前はケインのことがあったから別だがな。だから唯一にして最後、というわけだ」
教授の目が鋭くなった。
「でも、そうのんびりもしてられないわよ。ミカエル・アヴァロンは今、ロックモールにいる。いつまでそこにいるかは分からない」
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