魔王と魔法使いと失われた記憶
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398: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/15(木) 19:24:42.57 ID:tce8OdH5O
花街の入口でエリザベートを下ろすと、ラファエルは風のように消えていった。
モリブスの花街は、ベルバザスやロックモールほどの規模ではない。しかし、売春は無頼衆にとっていい「しのぎ」だ。勢い、娼館の数は他国に比べ多い。


この中から……「中枢」とランパードを見付け出せと??


「エリザベートっっ!!!」

「分かってる!!!」

エリザベートが精神を集中し始めた。エリザベートの感知魔法はかなりの精度と聞いている。ランパードを見付け出したら、一旦ジャックの所に退いて仕切り直すしか……


「おおおおおおおお」


「きききき……きき……」


「何これっっ!!?」


奇声をあげながら、娼館からワラワラと娼婦たちが出てきた。動きはトロいが……多いっ!!!目視できるだけで20、いや30人はいる!!!
手を前に出しているが……これではまるで屍人(グール)だ。いや、あるいは本当にそうなのか??

「エリザベート、まだかっ!!?」

「黙ってて、集中できないっっ!!!」

個人は問題じゃないが、集団で四方を囲まれるのは……最悪だ。被害を承知で本気を出すか??

逡巡していると、プルミエールが急に詠唱を始めた。


「『幻影の霧(ミラージュ・ミスト)』!!!」


俺たちの周囲を、白い霧が包む。そうか、これならっ!!
娼婦たちが次々と霧に入っては動きを止める。根本的な解決にはならないが、しかし十分だ!


「時間は稼いだわ!!エリザベート、どうなの!!?」

「……!!!10時の方角に……1、2……!!?」

彼女が青ざめる。何に気付いた??

「……どうしたの?」

「嘘……そんなっっ…………!!!」

霧がゆっくりと晴れていく。霧の効果で倒れている娼婦たちの向こうにいたのは……3つの人影。

1人は見たことがない顔だ。若い小柄なエルフの女……あれが「中枢」か?
そして、その奥にいるのは……外套で隠れてはいるが、多分さっきの女か。もう一人は、背の高さと体つきからして、男か?


……まさか。


「ビクターッッッ!!!!」





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