397: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/15(木) 19:22:17.44 ID:tce8OdH5O
「逃げろっっっ!!!」
俺は飛び起きると、プルミエールの手を掴んだ。
「えっ」
「裏口だっっ!!!ラファエルっ、家具かなにかで入口を封鎖だっっ!!」
「なっ……!!?」
「つべこべ言わずにとっととやれっっ!!『乗っ取られて』も知らんぞっっ」
階段を駆け降りると、既に玄関付近は混沌の最中にあった。マイカというオーガが力任せに殺到する人々を薙ぎ倒しているが、このままではもって数分か。
「極力殺すな!口の辺りだけはしっかり覆え、口付けされると乗っ取られるっ!!」
「わ゛、わがっだ」
奴が長身で大分助かった。しかし、いかに相手が丸腰の一般人でも、このまま行けばワイルダ組も乗っ取られるだろう。
裏口を開けると、もう数人そこにいた。当て身ですぐに昏倒させたが、あっという間に次が来る。想像以上に統率が取れていてキリがないっ!!
プルミエールとエリザベートは、明らかに足が遅い。肉体能力だけなら、この2人はそこいらの小娘並みかそれ以下だ。
2人を抱えて「2倍速」で逃げるしかない。問題は、それができるかだ。
その時、俺の前にラファエルがやってきた。
「エリックの旦那、俺も行くっすよ」
「ワイルダ組はどうするんだっ??」
「さっきの話、大体聞こえてましたから。頭を倒せば元に戻るっしょ?
それに、病み上がりだけどウィテカーもいるっす。何とか持ちこたえられると信じます。とにかく、旦那たちを花街に連れていくのが第一っす。その後は、俺がワイルダ組を守るので」
そう言うと、ラファエルはエリザベートを背に乗せた。
「そこの娘さんは、旦那が」
「分かったっっ!!!」
「え、ちょ、ちょっと!?」
プルミエールを背負うと、彼女がすっとんきょうな声を上げた。豊かな胸が背中に当たるが、それを気にしていられる状況じゃないっ!
「加速(アクセラレーション)2!!」
一気に駆け出す!コボルトのラファエルも、平気で付いてくる。脚の速さなら、亜人でも随一なのがコボルトだ。
襲い掛かろうとする連中は、軽く跳ね飛ばす。立ち塞がる連中を蹴りつけていると、花街の妖しい香辛料の香りが強くなってきた。
「俺はここまでっす!!あとは頼みましたぜ旦那ぁ!!」
「助かったっ!!ワイルダ組を頼むっ!!」
761Res/689.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20