366: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/10(土) 17:42:08.11 ID:QhyjSLwuO
ジャックさんは首を振った。
「殺された可能性は否定できないな。ただ、ここにジョイスが来たということから考えて、その可能性は薄い」
「どうして分かるんですか?」
「シェリルの手口として、『憑依』かそれに類した洗脳を使ってると俺は見た。そして、誰が一番俺たちに警戒されないかと問われたら、それはジョイスではなくランパードだ。
ジョイスが来た瞬間に察知できていたから難を逃れたが、ランパードだったら俺も油断しただろうな。
つまり、ランパードの利用価値は高い。シェリルがそれをしなかったということは、勢い余って殺してしまったか重傷かという可能性もあるが……」
ジャックさんが煙草に火を着けた。
「まだ潜んでいるのが一番ありそうだな。それも、簡単に逃げられない状況で」
「……『転移の球』を持ってるのに?」
「あれは俺も知っているが、屋内じゃ使えん。つまり、外に出ること自体が容易ではないということになるな」
「助けに行かなきゃ」
涙を拭って、エリザベートが外に出ようとする。私は彼女の袖を掴んだ。
「ちょっと待って!?どこにいるのか分からないのよ!?」
「でも行かなきゃ!!これ以上待ってても……取り返しが付かなくなってからじゃ遅いのよ!!?」
「落ち着け」
溜め息混じりにジャックさんが言う。
「ジョイスから話をまず聞こう。シェリルの状況が分かるかもしれん」
「え?さっきは眠らせるしかないって……」
「そうだ。眠っている間、デボラにちと働いてもらう」
「……あたし、かい?」
「そうだ。『時間遡行(アップストリーム)』の効果を忘れたか?」
「……あ、ああっ!!?そういうことかいっ!」
ニヤリと彼が笑う。
「そう、脳に掛ければ、洗脳は解けるはずだ。多少時間と体力は使うがな」
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