365: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/10(土) 17:41:28.44 ID:QhyjSLwuO
「わ、分かった!!!」
向こうからデボラさんとシェイド君が駆けてくる。シェイド君が激しく流れる血を押さえながら、治癒魔法をかけ始めた。
「出血が激しいにゃ!!」
「待ちなっ!手首はあたしが繋げる、あんたは回復魔法をかけ続けな!!」
「繋げる??できるのかにゃそんなの??」
「つべこべ言わずにやるんだよ!!」
「わ、分かったにゃ!!……睡眠魔法も平行にゃ??」
シェイド君にジャックさんが頷く。
「多分、精神はシェリルの支配下だ。しばらく眠らせるしかないな」
「え」
「ジョイスが『分身体』で来ないなんてあり得ないからな。生身で来たのが分かった瞬間、尋常ではないと判断した」
コフコフと、ジャックさんは軽く咳をするとエリックを見た。彼は短剣の血を拭い鞘に収めたところだ。
「助かった。調子はどうだ?」
「まあ、軽くはなったな」
平然とエリックが言う。
「あ、ありがとう……また、助けられちゃった……」
「当然のことをしたまでだ。それより」
エリックの視線がエリザベートへと向く。彼女は呆然と立ち尽くすばかりだ。
「あ……ああ……」
「ランパードだと思った、か」
「……帰ってくるんじゃ、なかったの?」
「焦りすぎだ。ただ……」
ジャックさんも渋い顔になった。
「あまり、いい状況ではないな。俺はランパードの力量や性格を詳しくは知らない。ただ、ここに戻ってこられる状況にないのは確かだ」
「……まさか……」
震えるエリザベートを私は抱き締めた。……そんなことは、想像したくもない。
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