魔王と魔法使いと失われた記憶
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367: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/10(土) 17:42:40.23 ID:QhyjSLwuO
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「……ん」

「気付いたか」

「……ちょっと待て。なんで拘束されとると??」

ベーレン侯の意識が戻った。ジャックさんがデボラさんの方を見る。

「どれぐらい戻した?」

「半日。今朝ぐらいの記憶にはなってるはずだね」

「いいだろう。ジョイス、お前、この銃に見覚えは」

エリックが手首ごと吹き飛ばしたものだ。簡素な造りで、特注品というほどでもないらしい。

「ないっちゃ。俺ならもう少しマシなのを使うたい」

「……だろうな。お前なら『魔導銃』の方を使うはずだ」

「『魔導銃』?」

私の問いに、デボラさんが魔術紋が入った銃を見せた。

「これだね」

「どうしてあんたもそれ持っとるん?」

「あたしが独立するときにアリスさんからね。あんたも持ってたんだね」

「アリスがオルランドゥに赴任する時に餞別代りにもらったと。それより、もうええやろ?何でこんなことになっとるか、説明してくれっちゃ」


一通りジャックさんが今日のことを話すと、ベーレン侯が眉を顰めた。

「……洗脳されてたんか」

「ああ。心当たりは」

「……今日はラミレス家のエマニュエルと会う予定だったっちゃ。もちろん、ラミレス家がアヴァロンとの繋がりがあることは承知の上だったから、俺本人が会うつもりは全くなかったんやけど」

「エマニュエル・ラミレスが『シェリル』?」

私の言葉に、ベーレン侯が考える素振りをした。

「どうやろな。『憑依』についてはよく分からんけど、普通に考えたら相手は同じ女性のはずたい。男に憑りついたら違和感がすごいはずやし」

「だろうな。ラミレス家に近い誰かか?いや……普段地下室に籠っているはずのお前に接触するなら」

「……嫁か!!」

ベーレン侯の顔に朱が差した。

「彼女がシェリルの『中枢』とは考えにくいが……誰かが彼女を洗脳し、そこからお前にと考えるべきだな。とすれば、昨日今日の彼女の行動が分かればいい」

「んなのどうすれば……」

ジャックさんがニヤッと笑い、私を見た。


「修練の成果を見せる時だな、プルミエール・レミュー」





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