360: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/10(土) 17:14:23.49 ID:QhyjSLwuO
「『憑依』、それも離れた場所にいても、接触しなくてもできる類いのものか?」
「さすが、ジャック・オルランドゥ。知ってたか」
「『魔女シェリル』の噂は聞いたことがある。15、6年ぐらい前に自らを『シェリル』と名乗る女が、『歓楽都市ベルバザス』に出現したと。
そして暗黒街を牛耳り、エルフの娼婦たちを瞬く間に支配下に置いた、らしいな」
いつも余裕の笑みを浮かべているランパードさんが、とても険しい顔になった。
「そうだ。そして俺が派遣された。厳密には、俺とその部下3人だ。
しかし……犠牲を払った。重い、重い犠牲を……」
「部下は全員」
「殺されたさ。希少品のはずの銃を、それも見たことがないものを、奴は持っていた。……多分、あれは遺物だ。
それでも俺は、何とか『シェリル』と名乗る女を討ったさ。だが、そいつはエルフじゃなく、人間だった。
そして、3ヶ月後に再び……今度はロワールのニャルラで『シェリル』が現れたんだよ。『自分はトリス王家のシェリル・マルガリータだ』と名乗る、『亜人の女』が、な」
ジャックさんが煙草に火を付けた。
「『魔女シェリル』はどこにでも現れる。そして、世界のあらゆる歓楽街を支配する。
伝説じみた存在だが、確かにエルフの『憑依』を使っていれば説明は付くな。
そして、さっき言っていたもう一つの理由は……本当にシェリル・マルガリータが関与しているかという証拠がない、ということだな?」
「そういうことだ。そして、どうやって『憑依』しているのかも分からねえ。監視も異口同音に『彼女はそこにいた』と言いやがる。
マリア様の『千里眼』ですら、シェリルが動いたという証拠は押さえられてねえんだ。
ただ、マリア様に対して弓を引こうとしているのは確かだ。ジェラルドとも利害は一致する。いや、待てよ……」
ランパードさんが叫んだ。
「まさかっ、シェリルは『六連星』かっ!!?」
「あり得ることだ。歓楽街を支配していたなら、それなりの連中とも付き合いがあるだろうな。アヴァロンとどういう接点があるのかはよく分からんが」
「そうか、道理で……いよいよ俺が行かねえとまずいな」
761Res/689.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20