359: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/10(土) 17:13:19.04 ID:QhyjSLwuO
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「ダークエルフ?」
私の問いに、ランパードさんが頷いた。
「私も詳しく知らないけど、確かエルフの間で、稀に生まれてくるという」
「そうだ、『忌み子』だ。トリスに災いをもたらすとして、生まれた瞬間から国家の管理下に置かれる。
実の所、完全なる偶然で生まれてくるわけじゃねえ。魔族とエルフが『番』になった場合、小さい確率で生まれることが分かっている」
「そのどこが問題なんだい、愛し合って生まれた子だろう?」
デボラさんの言葉に、ランパードさんが首を振る。
「これがどういうわけか、強大な……途轍もなく強大な魔力を持って生まれてくるんだよ。しかも、今までの事例からして例外なく『邪悪』。
トリスは余程のことをやらかさねえと死刑はしねえ。ただ、過去のダークエルフは、大体大量殺人を犯し、そして処刑されてる。
だから、生まれたら即拘束、監禁だ。赤ん坊に罪はねえが」
エリザベートが同意した。
「シェリル叔母様も、何人も人を殺したと聞くわ。私もシェリル叔母様のことは、怖くてお母様に聞いたことがない。
でも、どうして叔母様は処刑されてないの?」
「理由は2つ。まず、単純に王族だからだ。ソフィア前女王は、恋多き女だった。そして、魔族を『番』としたことの責任を取って……というより、ダークエルフを生んだことの責任を取って自死した、らしい。
姫が生まれる前のことだし、きっと聞かされてねえと思うが」
エリザベートの顔が蒼白になる。
「……そうだったの」
「ああ。ただ、王族は処刑できない。マリア様も、負い目があるんだろうな。だから徹底した監視下に置くだけに止めている」
「ちょっと待て。じゃあなぜ殺人を犯したと分かる?ずっと監禁されてるんだろう?」
エリックの言う通りだ。ずっと動けないなら、人殺しなんてできるはずがない。
しかし、ジャックさんの口から飛び出したのは、驚くべき言葉だった。
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