351: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/10/06(火) 21:06:17.26 ID:ZGv8N3vbO
シェリル・マルガリータか。魔族とエルフの間に産まれた、禁忌の子。その身は、長年幽閉されている。
しかし、それでもなお彼女は影響力を行使し続けている。姉のマリア・マルガリータ女王の目を巧みに盗みながら。それを可能としているのは、彼女が持つ「パランティア」の力だ。
彼女は「クドラク」同様に、「姿が見えない」。しかし、決定的に違うのは……
「陛下」
後ろから声をかけられる。つい、思考に耽っていたらしい。
「失礼をした。貴方の予定は」
『テルモンに行きユングヴィ教徒の保護を。シュトロートマン一派への対応については、ナイトハルト伯が戻り次第任せるつもりです。
その後は『魔女シェリル』の首尾次第でしょうね。まず心配は要らないと思いますが』
『アリス・ローエングリンが行方不明らしいが』
「拳神」ロイド・ロブソンが呟く。アヴァロン大司教の顔が、僅かに歪んだ。
『何ですって』
『僕の『知る』程度の話だ。オルランドゥでは騒ぎになり始めている。監禁しようとしたら傀儡だったらしい』
『……『秘宝』、ですかっ!??』
顔を紅潮させる大司教に、ロブソンが首を振った。
『そこまで僕には『分からない』。ただ、彼女とその元夫、ジャック・オルランドゥには最大限の注意を払うべきだ。いかに『魔女シェリル』であっても、討てるとは限らない』
『……それもそうですね』
大司教から余裕が消えた。私は後ろの翼人を見る。
「どうする」
「捜索隊を展開しましょう。デイヴィッド、指揮を頼めますか」
『サンタヴィラの監視と捜索はいいのか』
「さしあたりそちらを優先しましょう。オルランドゥに向かってください」
『人使いが荒いな、大将』
デイヴィッドが溜め息を付いた。この男も彼には逆らえない。
「とにかく、『魔王エリック』と『想起者プルミエール』の処理はシェリルに一任しよう。では、各々方」
モニターが一斉に消えた。私は椅子にもたれかかる。
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