魔王と魔法使いと失われた記憶
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25: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/07(金) 22:03:32.70 ID:S0Anv1g5O
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お茶の後の微妙な空気は、1人の闖入者によって破られた。

「教授!プルミエールさんっ!お茶にしましょ!」

「……エリザベート、もう済ませたわよ?」

「えっ……私抜きで?ひどいっ」

「遅刻する貴女が悪いのよ。ここでの論文執筆は、3の刻からと決まってなかった?」

エリザベートは時計を見る。針は4と半刻を指していた。

「ありゃあ……確かに。大遅刻ですねぇ」

「まあ貴女の論文は詰めの段階だし、もう来なくても大丈夫かもしれないけど」

ばつが悪そうに、エリザベートは頭をかく。

「うう……すみません。あ、プルミエール。そっちはどう?」

「うん、まあまあ順調」

「そっかそっか。どんな魔法なのか、楽しみだよぉ。プルミエールだったら、さぞすごいんだろうなぁ」

「あなただって。でも、同じ研究室でも学会まで研究内容は秘密なのよね」

ウフフ、と教授が笑った。

「まあ、新しい魔術ってのはそれだけの価値があるからね。昔からの慣例、ってとこかしら。
実際、事前に漏れた結果盗用されて大問題になったこともあるから」

「でも教授は知ってるんですよね、プルミエールの研究」

「ええ、でも教えないわよ」

「むー、残念。ところで、ぜんっぜん話は変わるんですけど。『魔王』、出たらしいですよ」




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