160: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/30(日) 20:44:18.07 ID:GOi8ToA6O
私は2人の会話に割り込んだ。
「ちょっといいですか」
「どうしたプルミ……プル」
コホンとランパードさんに咳払いをした。流石に正体を知られたらまずい。
「エストラーダ候、お嬢様の化粧台に、アミュレットがありましたが……あれは?」
「おお、気付いたか。外しているのは珍しいと思ったのだ。あれは母親の形見の一つだ」
「形見、ですか」
「そうだ。輿入れの時に持ってきたものでな。あいつの家の家宝であったと聞いている」
「家宝」
「そうだ。常に着けておってな……亡くなる前に、ファリスに託したのだ」
「失礼ですが、奥様も病で?」
エストラーダ候が辛そうな顔で俯いた。
「違う。15年前……自ら命を絶ったのだ」
「え」
「詳しい理由は知らん。ただ、『幸せでした』とだけ……その話は、もういいか」
「……そうですか、すみませんでした」
15年前……「追憶」を使って「思い出させる」には、私の力はまだ十分じゃない。
すごく時間をかければ真相が分かるかもしれないけど、そこまでする必要もないように思えた。何より、そんな余裕はない。
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