159: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/30(日) 20:43:40.07 ID:GOi8ToA6O
「……施術の流れは以上です」
ランパードさんの説明に「本当に大丈夫なのか」とエストラーダ候が不安がった。
無理もない。頭蓋に穴を明け、そこから病の巣を切り抜くなんて……正直、現場を見たら倒れそうだ。
ランパードさんは難しい顔をして頷く。
「施術には万全の注意を払います。ただ、私の腕をもってしても5分です。
さらに、肺の病も厄介です。脳を何とかした後、こちらにも手をつけねばなりません」
「本当に、助かるんだろうな?」
「お嬢様を助けられるのは、世界では私以外に1、2人かと」
「……分かった。金は幾らでも払う」
「それについては治った後にでも。……ところで、お嬢様は最近変ではありませんか?」
来た。本題だ。
「変……とは?」
「夜いなかったり、あるいは何か部屋で物音がしたり……」
エストラーダ候が首を捻る。
「さて……そもそも、ファリスは数メドを歩くのもやっとだぞ?メイドの助けを借りねば厠で用も足せん」
ランパードさんが訝しげに私を見た。しかし、あのアミュレットは間違いなくクドラクが着けていたものだ。
「朝はどうですか」
「昼まではまず起きん。さっき身体を起こしていたのを見て驚いたくらいだ」
どうもエストラーダ候はファリスさんがクドラクであるかもしれないことに気付いてないようだ。ランパードさんの推測は、やはり正しいのかな。
しかし……昨晩のクドラクの動きは、どう考えても病人のものではなかった。「遺物」が力を与えているとしか考えられない。
そして、ひょっとしたらあのアミュレットこそが……
761Res/689.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20