147: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/27(木) 12:34:35.73 ID:IcevcAFHO
#
翌朝。待ち合わせの広場に向かうと、既にランパードさんが待っていた。医者らしく、白装束を着ている。
「お待たせしました」
「……どちら様だい?」
キョトンとした様子で、彼が私を見る。それもそうだろう。髪の色は黒ではなく緑。眼鏡はなく、耳はエルフのように尖っている。
「私です、プルミエールです」
「……嬢ちゃんか??」
私は唇に指を当てた。
「ええ。少し、変装を」
「……幻覚魔法か、それもかなり高度な。そんなのも使えたのか?」
「いえ、ある人にかけてもらったんです」
ウィテカーさんはデボラさんの弟らしい。亜人じゃないように見えたのだけど、何でも彼らは人間と狐人との子供なのだという。
亜人が強く出たのがデボラさんで、人間が強く出たのがウィテカーさんとのことだ。
複雑な家庭そうだったけど、そこには立ち入らないことにしておいた。
そしてやはり、彼もジャックさんの指導を受けた、らしい。「見た目を少し変えるぐらいなら問題ない」って言ってたけど、これは少しなんてもんじゃない。
眼鏡も幻覚魔法で消している。デボラさんといい、相当な使い手であるのはもはや疑いがなかった。
ランパードさんは怪訝な顔をしている。
「ある人……誰だそいつ」
「言うことはできないんです。それより……」
「……魔王だな。聞いたぜ、ここで襲撃があったと。狙われたのか」
小さく頷いた。
「ええ。彼は傷を負って、今別のところに」
「……そうか」
彼は鞄から新聞を取り出し、私に手渡した。
「旧市街入口で2人死亡、『クドラク』か」
761Res/689.43 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20